日本料理を食べに行こう Restaurante Japonés Ai編
サラマンカ滞在も終わりに近づいたある日、ふと思い立って僕は日本料理を食べに行くことにしました。
なぜサラマンカで日本料理かというと、別に日本の味が恋しくなったからではなく、単に海外の日本料理がどんな感じなのか興味があったからです。
僕はこのサラマンカ滞在が初海外だったので、「外国の人が考えた日本」を体感できるような店ないしは場所にまだ行ったことがありません。
好奇心からネットで調べてみると、サラマンカ市内にも日本食レストランが数軒あるようで、その中でも“Restaurante Japonés Ai"という店が特に有名みたいでした。G◯◯gleレビューでも評判は上々、そうとなれば行ってみるしかありません。
果たしてここは本格的な日本料理を提供してくれる店なのか。はたまたサムライゲイシャフジヤマが待ち構えてる店なのか。
調査員は真相を確かめるべく、サラマンカの奥地へと足を運んだのであった...
Restaurante Japonés Aiは、マヨール広場東側の入り口から歩いてすぐのところにあります。
黄金色に輝く夜のサラマンカの旧市街地。そこに唐突に現れるモノトーンの外装、デカデカと掲げられた「愛」の文字。日本人でなくとも2度見します。
Aiのロゴマークに注目。さりげなくハートマークがあしらわれてます。
これなら漢字の分からないスペインの人でもAiの意味が伝わりますね。
なかなか面白い外装だったのでじっくり眺めておきたかったのですが、奇怪なアジア人が一人で店の写真を撮って興奮していると警察に通報されそうなので、そそくさと店に入ります。
この時は夜の11時過ぎと、スペイン感覚でも遅い時間でしたが店内はまだ人で賑わっています。カウンターの店員さんにhola〜と挨拶すると奥から法被を着た店員さんが出迎えてくれました。
店員さん「ニホンジンデスカ?」
まさかの初手で日本語喋れる人と遭遇!
驚きながらもJaponésではい、と答えると店の真ん中の空いた席に通されました。
!?!?!?!?!?
ニホンジンデスカ?の質問の意味はこれだったのか...
動揺しながらも席に着くとメニューを渡されます。
これ、凄くないですか?
この品数の充実っぷり!
丼物、麺類、カレー、おかず類、つまみまで網羅。動揺しすぎてぶれちゃいました。
しかもカレーはただのカレーだけでなくカレースパゲティとかカレーうどんみたいな変わり種もあります。カツカレーに関してはトンカツか鳥カツかまで選べます。
照り焼きサーモン丼とか日本でもそんな食べれる店多くないんじゃないか?
とにかく守備範囲が広すぎる。
まさかサラマンカで「ほうれん草のおひたし」の文字を見るとは思ってなかった。
つうか「ごまわかめ」に至ってはチョイスが渋すぎる。
品数の多さもそうですが、個人的にはメニューに写真が載っていることの方に感動しました。これ、現地で生活してみると分かるのですがメニューって基本文字しか書いてないですし、そもそもメニュー置いてない店も多いです(例:Mama Luna)。運良く文字だけメニューを渡されたとしても、まずどんな料理なのか分からないので写真が載っていることのどれだけありがたいことか。(日本人だから要らんだろとか言わないように)
Estupendo(素晴らしい).
さてこの圧倒的品数を前にして、僕は何を選ぶべきか?
しばし悩んだ末、日本の味と言えばこれだろう、と天ぷらセットにすることに。が、
店員さん「テンプラハモウナイ...」
入った時間が遅かったせいか、売り切れてしまったようです。天ぷらはやはり人気なのですね。
それならばと庶民的な日本の味であるところの生姜焼きセットと、緑茶(Te verde)を頼むことにしました。
料理が来るまで暇なので店内をいろいろ眺めてます。
こちらはランチョンマットの代わりに置かれた紙です。Alfabeto japonésがズラっと並んでおり、料理を待つ間に日本語の勉強ができるようになっています。たぶんスペイン人はザ行を発音できないと思うんですけど(名推理)
※スペイン語ではzは英語のthに近い発音になり、濁らない
というか今見て気づいたんですけど、これラストオーダー過ぎてましたね。(LO 23:15に対しこの時既に23:30)よく入れてくれたな〜。
Te amo, restaurante japonés Ai.(愛してるぜ日本レストラン愛。)
にしても日の丸の圧が強すぎる。
ただでさえ遅くに奇怪なアジア人が一人で来て目立っているというのに、こんなクソデカ日の丸を背景にされたらスペイン国王以上に目立ってしまいます。
日本の主要都市が書かれています。
東京大阪愛知三重長野。
なんかパワーバランスが偏ってる気がしますがまあいいでしょう。
!?!?!?!?!?
全く意図が分からない「山中」が店の真ん中に君臨しています。
山中はさておき内装は結構凝ってます。
僕は謎の鳥居とか将軍と書かれた掛け軸とかを期待してたんですけど、全体的に綺麗でモダンな感じに纏まってます。
所々に日本要素が散りばめられてて見ていて楽しいです。日本人形とか五月人形とか絶対高かったと思うんですけど、どうやって持ってきたんでしょうか。
僕が一番気に入ったのはカウンターから生えてる竹とその根元の酒瓶です。僕の好きなサッポロ黒ラベルを選ぶあたり通です。サッポロ黒ラベルを選ぶ人は高身長高収入のイケメンで女性から非常にモテることが広く知られています。
冷えてるか〜?
店内入り口付近に掲げられた五つの標語。「幸福 知性 平和 真実 志」。
最後の「志」がカッコいいですね。
社会主義国家の標語みたいですね
Alfabeto japonésが壁にまで書かれてました。
ランチョンマットから目を逸らしても強制的に日本語学習が継続されます。
上手く撮れなかったのですが、天井の照明は提灯みたいになってました。こだわってますね。
料理より一足お先に緑茶 Te verdeが到着。
スーパーで売ってた緑茶はまさかのハチミツ入り緑茶だったのですが(後で記事にします)、これは本物の緑茶です。
それから程なくして生姜焼きセットが到着。
割り箸が日本の割り箸で思わず感動。
生姜の香りが食欲をそそります。
今夜だけは思いっきり日本流でいかせてもらいましょう。
慣れた手つきで割り箸を綺麗に割り、両手を合わせ「いただきます」を唱和(クソデカ日の丸を背にしてこれ以上にないほどの日本人アピール)、これが無ければ勝負は始まりません。
米が、日本の米です!
arroz japonésです!
生姜焼きはしっかり生姜・みりんの味が効いてます。ちょこんと添えられたキャベツの千切りとトマトがいい。やはり生姜焼きに添えるのはこの二つでしょう。
思ったよりもちゃんと日本の味でした。なんとありがたいことでしょう。やや濃いめでしたが僕は青森県民なのでノープロブレムです。
日本食、そこまで恋しさは覚えていなかったのですが、やはり久々に食べると懐かしくて落ち着きますね。あっという間に食べ切ってしまいました。
食べ終わるとなんとサービスで日本酒をおちょこで頂きました。
緑茶は有料ですが日本酒は無料です。なんと素晴らしい店なのでしょう。
写真を撮ってたら僕と同い年くらいの女の子の店員さんに話しかけられました。彼女も大学生でどうやら日本語を勉強中だそうです。もう閉店時間になっていたはずでしたが、いろいろ話こんでしまいました。
最後、写真を撮ってもらいました。
サラマンカ滞在は今にして思えばあっという間の時間でしたが、この日のことは特に強く覚えています。本当にいい時間でした。restaurante japonés Ai、本当におすすめです。
Te amo, restaurante japonés Ai.
¡Chao, hasta luego!
コスパ:★★★☆☆(ちょい高だが日本の味なのでNo problema)
味:★★★★★(これぞ日本の味)
品数:★★★★★(圧倒的守備範囲)
サムライゲイシャフジヤマ:なし
酒がタダ:🍶🍶🍶🍶🍶
メニューに写真がある:💯💮👏😄👍
(おまけ)
店出たら土砂降りの雨に降られたのでタクシーで帰ったのですが、なんとプリウスでした。しかもサラマンカでは珍しくJCBカードが使えました。なんか不思議な縁を感じますね。
道中で運転手のおっちゃんからなんか話しかけられましたが、やっぱり何を言ってるか分からなかったので、曖昧に微笑んでおきました。No problema.