スペイン料理を食べに行こう　その①　初めてのレストラン編

今回は僕が始めてスペイン料理を食べに行った時の話をしようと思います。

サラマンカに到着してまだ日も浅いある日、研究室を早めに抜けて1人になった僕は、どこか外でお昼ご飯を食べることにしました。初めてのお店に入るのはいつでも少しの緊張とワクワク感が伴うものです。とは言っても言葉の通じない土地でたった1人、しかも初海外とあっては適当な店に入るだけでも大分勇気が要ります。

混み合った店は避け、空いていそうな店を探し求めて歩くこと数十分。偶然か必然か、僕はとある思い出深い店に辿り着くことになります。

連載2回目となる今回は、言葉の通じぬ異国の地でメニューのないレストランに入った際、人はどのように振る舞うのかと言うことについて特集していこうと思います。

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Mamma Luna。

ここは僕が初めて入った典型的なスペイン料理店です。

典型的なスペイン料理店、というのは大抵レストランバー（ダイニングバー）で、読んで字の如くですが一応説明すると、昼はレストランで夜はレストラン兼バーという形態のお店です。僕がサラマンカで見たレストランはおおよそこの形態をとっていました。

さてお腹をすかせた僕が恐る恐る入店すると、早速カウンターのおっちゃんが何か話しかけて来ました。が、当然何を言っているのかはさっぱり分かりません。唯一Comer?（食べる？）と聞かれたのだけは分かったので元気よくComer!と言うと席に通されました。

席につくと娘さんとおぼしき若い女の子がテーブルをセッティングしてくれ、水を出すノリでパンを出してきます。しかしメニューはなく、おっちゃんが「今日はこういうのがあるけど、どれにする？」という感じで聞いてくるシステムでした。

知っている食べ物を表すスペイン語がArroz(米)とPan(パン)しかなかった僕は早くもピンチに陥ります。

怒涛の勢いで未知の単語を繰り出すおっちゃんに対し、僕ができることと言えば精一杯何を言っているのかさっぱり分からないときの表情を作ることだけでした。

何を言っているのかさっぱり分からないときの表情は万国共通なのでしょうか。ここで見かねたおっちゃんがアー...chicken?と喋ってくれたので、よく分かりませんがとりあえずchicken!と返したり、arrozは聞き取れたので元気にアロス！と答えました。おっちゃんには「アrrロスな（笑）」と流ちょうな巻き舌で返されましたが。流石本場スペイン人、巻き舌がとても上手です。このようなバトルを経て出てきたのがこちらです。

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スペイン名物パエリヤ

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鶏肉のステーキ

意図せずスペイン料理として一番有名であろうパエリアを頂くことになりました。パエリアは鶏肉とエビがゴロゴロ入っていて食べ応えがあって、素朴な味付けでおいしいかったです。最初はこれがチキンと米の意味なのか～と思っていましたが、どうやらこれは最初のプレートだったようで、メインは次のステーキでした。パエリアで結構お腹が膨れていたのでステーキ2枚を見たときはビビりましたが、あっさりした味付けだったので美味しく頂けました。

食べているときにおっちゃんが時々笑顔で僕に話しかけてきましたが、当然何を言っているのかはさっぱり分からないため、とりあえず全部 Muy bien!(very goodの意）で返しておきました。おっちゃんは笑ってました。No hay problema.

あらかた食べ終わったころにまた何か話しかけられましたが、当然（略）、とりあえず最後の部分だけオウム返しで「ナティージャ...?」と言ってみたところ、おっちゃんは「そうだ」みたいな感じで頷き、虚空を指さしました。

何がそうなのかは全く分かりませんし、虚空の先に何が待っているのかも全く分かりませんが、もしかして閉店時間なのかな？と思ってカウンターに行くとデザートを出されました。どうやらデザートを聞かれていたようです。

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